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カテゴリ:ビタミンY(脳内研究室)( 5 )

仮定法過去の楽しみ

 もしもヒトに尻尾が生えていたら……

 たとえば、尻尾関連のアクセサリーが生み出されているかもしれない。もちろん、モードにも関わってくる。「今年のミラノ・コレクションでは、尻尾を大胆に“魅せる”作品が目立った」などという報道がされたりする。
 理想的な尻尾のスタイルなるものが一般論として形成されているだろう。エステティックサロンには当然美尾コースがあるし、雑誌等には、「“尻尾の綺麗な女優”ランキング」「一日5分ですっきり美尾!尻尾のひきしめエクササイズ」といった特集記事が時折組まれている。尻尾の毛が薄いとか濃いとか、肌が荒れがちだとか、尻尾に関して悩みを持つ者もいるだろう。専用の手入れ用品も出回っている。

 礼儀作法には、尻尾の姿勢や動きに関していくつかの慣例が存在しているだろう。「若い人が、自分の尻尾を手で掴んで振り回している光景を近頃よく目にするが、……(中略)……いかがなものかと思う(匿名希望:東京都 団体職員 53才 男性)」等の投稿が新聞の投書欄でみられたりする。いわゆるジェネレーション・ギャップなるものは、いつの世にもあるものだ。
 また、たとえば「混んでる電車とかで、おじさんの尻尾が足にふれちゃったりすると、すごく嫌じゃない?」「あーわかるわかる!」等の会話が某大学法学部の女子学生2人の間でなされるかもしれない。
 「18世紀までは、男性が尻尾をむきだしにしているなどということは考えられなかった」などといった文化史があるかもしれない。もちろん、国や値域によってその内容は異なっている。……

 ……そんなことが頭に浮かぶ瞬間がたまにある。
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by YuyusInstitut | 2005-05-29 09:18 | ビタミンY(脳内研究室)

バナナの外皮除去の手順に関する個人的研究

バナーナの食し方

 南国の果実、バナナ。──人がバナナを食する場面において、一般には、へたの方から一部外皮をはいでからかじり、露出した部分が短くなったらさらに皮をはぎ……というやり方がよく採用されていると思われる。
 一方で私はというと、まず最初に皮を全部むき、一口大に折って口に運ぶのが習慣である。そこで、なぜそうしているのか、簡単に自己を分析してみることにする。

 どうやら私が全体の皮を一度にむいてしまうのは、皮をむいた状態のバナナの、空気を含んだ繊維の質感を見るのを好むためであると報告された。バナナの、起毛素材のようなふわりとした表面をよく見たいわけである。
 手で折って食べることについては、直接かじってしまうと断面に残る歯形が*、恥ずかしいものであると私には感じられることから生じている。また、手で折ると、繊維質様の断面を潰すことなく見られるのもいい(縦にきちんと3つの部分に分かれているのもはっきりわかる)。

 普段は無意識に行っていた行為ではあるが、己と向き合って考えてみれば、こういった次第であった。




*:前歯で折るようにして食べたとしても、縁に抜け目なく歯形が!

※ 関連研究 → 2005年1月12日付記事:
 「温州蜜柑の外皮除去の手順に関する研究──みかんアンケートの試みによる──

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by YuyusInstitut | 2005-04-11 22:23 | ビタミンY(脳内研究室)

チーズ蒸しパンにまつわるとっておきのお話

 久しぶりにチーズ蒸しパンを食べた。といっても、元祖の日糧製パンのものではない。ヤマザキの“北海道チーズ蒸しケーキ”である。

b0057682_12261656.gif 数年前のこと。私がこの蒸しパンを食べようとしているのを見て、知人が目をむいた。「ああっ……そんなの買ってる!」
 彼女は、ヤマザキの工場でアルバイトをした経験のある人だった。
 ところでこの蒸しパン、中央に浮かび上がる北海道の印はどうやってつけられているのか?──ずらりと並んだ蒸しパンがゆっくりとベルトコンベアで移動していく。そうして、焼きごてで自動的にぺったんぺったんと北海道印がつけられていく──そんな様子を私は想像していた。ほほえましき蒸しパンファンタジーである。
 しかしそれを彼女に軽く投げかけてみると、思いがけず逆鱗にふれてしまった。
「もー!そんな簡単なものじゃないんだから!!」
 それでは北海道の刻印の行程とはいかなるものか。……工場の人たちが、北海道の地形をしたプレートを一つ一つ蒸しパンに載せていく。それから天火で焼き色をつけるのだという。プレートで隠れている部分には焼き色がつかないので「北海道印」がくっきりと浮かび上がるというわけなのだった。
 彼女がヤマザキでのアルバイトにおいてもっとも苦労させられたのが、この蒸しパンだったという。大量の蒸しパンに急いで正確な位置にプレートを載せていかなくてはならない。うっかりプレートを裏返しに置こうものなら阿鼻叫喚の様相である。北海道印が反転してしまっては、商品として出せなくなってしまうので、ベテランのパートタイムの人から激しく非難されることになる。もう緊張の連続である。
 北海道の地形が無事刻印されても、まだ安心はできない。蒸し上がったパンを次から次へと運搬用の長いトレイに移さなくてはならない。トレイに置く間隔を誤ると、並べた蒸しパンがぐしゃりと潰れてしまい、これまた商品にはならなくなってしまう。それでまたよく怒られたというのだった。

 そんなことを聞いてみると、なんとも感慨深い北海道印。この裏側には工員さんの汗と涙の物語があるのである。心して頂かなくてはならない。
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by YuyusInstitut | 2005-03-11 12:36 | ビタミンY(脳内研究室)

温州蜜柑の外皮除去の手順に関する研究──みかんアンケートの試みによる──

 当たり前と思うことを、試しに疑ってみること。たとえば、これまで何とはなしにしてきた自分のやり方、日常について、必ずしも標準ではないかもしれないという可能性について、ほんの少し考えてみる。そんなことも、これまで自分の知らなかった世界の側面を見るきっかけになるものだ。

 * * * * * *

 話は私の高校時代にさかのぼる。昼休みにいつものメンバーで集まって、お弁当を広げていた。友人の一人がいつも大抵蜜柑を持ってきていた。そして、その日も彼女独特のむき方で皮をむいて食べはじめた。
b0057682_061898.jpg ──私は蜜柑を食べるとき、まずへたと反対側の柔らかい部分、いわゆる「おへそ」に親指を押し込み、へたに向かって皮をはいでいく。皮をはがされた実を半分に割り、房を一つずつ外して食べる。食べ終わるまで、放射状に広がった外皮がお皿の代わりになる仕組みである。
 けれど、彼女のやり方は、へたの方から皮をはがしていくというものだった。堅くてむきにくいであろうに、なぜわざわざへたの方から?
 目にする度に何となく気になっていた私は、その日ついに言った。
「皮のむき方、独特だよね……むきにくくないの?」
「え。ふつうこうじゃない?うちではみんなこうやってむいているし」

 なんと、予想外の反応である。これは捨ておけない。彼女のむき方がふつう、つまり標準的に行き渡っているものだとすると、私のそれはそうではないということになるではないか。過去の経験からいって、そんなことはないと思う。私としては納得しかねることである。
 もちろん、自分の採用しているもの以外にも蜜柑の皮のむき方が存在している、ということは知っていた。たとえば、爪でぐるりと水平に皮に切れ込みをつけていき、蓋付きの鉢のようにぱかっと上下に皮を外すやり方*。ほかにも、林檎の皮をむくように螺旋状にはがしていく方式もあるし、偉大なる蜜柑のシャンデリアも忘れてはならない。──しかし、これらのやり方は一般に、見た目を過度に意識したような場合、あるいは遊戯的要素を含んだ場合等であり、日常における温州蜜柑の外皮除去とは分けて考えるべきであろう。
 大多数の人は蜜柑を食べるにあたり、おへその方から皮をむくのではないか。そう仮定してみて(あるいはしつこく食い下がって)、みかんアンケートを開始した。……といっても、教室内を回ってクラスメートに「普段、蜜柑の皮をどうやってむいているか」と訊いてみた、ということなのであったが。

 さて、その結果をまとめると、おおまかに3つのタイプに分けることができた。
タイプ1:「おへそ」からむく
タイプ2:へたからむく**
タイプ3:全体を割ってからむく
 さらに詳しくいえば、タイプ3は「a.2つに割る方式」と「b.3つに割る方式」の2つにさらに分けることができる。

 残念なことに、人数割合の具体的データは残っていない***。ただ、タイプ1が最多数ではあったものの、その割合は5〜6割程度にすぎなかったと記憶している。この程度の割合では、標準的むき方であると宣言できるものではないといえよう。
 みかん、そこに個性と自由あり。

(「タイプ3−a.」を試してみました。結構、難しい)
b0057682_072627.jpg



*:房の袋を残して食べる場合(私は、見かけも汚いので好きではない)、残った袋を中に入れ、蓋をして捨てると「いい」らしい。
**:タイプ2派の言い分では、へたからむくと、白い筋がとれていいのだそうだが、筋は一緒に食べた方が、食物繊維が取れて体にはいいらしい。そういえば、「シャンデリア」にしてしまった場合も、筋が取り除かれてしまう……。房の袋も一緒に食べた方が良いのはいうまでもない。
***:アンケートはこのクラスの授業を担当する教員らにも実施された。「また変なこと始めたな」という顔をされつつも、一応データは回収している。ただ、この教員対象のアンケートについては、授業を脱線させてあわよくば潰してしまおうという、生徒による一連の計画の一環として実施されたものである。

※ 統計学上信頼できるデータが欲しいものです。全国規模で調べたら、たとえば地域・年齢層によって何か傾向などが見つかるかもしれません。今回記事を書くにあたって、参考までにインターネットで調べてみましたが、やはり世の気になるテーマのようです。「みかん むき方」で検索してみると、色々出てきます。

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by YuyusInstitut | 2005-01-12 23:51 | ビタミンY(脳内研究室)

シナモンの呼吸

【シナモンの呼吸】
 Wと並んで濃い影を踏んで歩きながら、私はふと思ったわけだった。
(“サイコロステーキ”とは英語から直訳された言葉なのだろうか‥‥いやこう問い直した方が良いだろう。つまり、“サイコロステーキ”という単語は一見和製語のようだけれども実は……というようなエピソードがあっても全く不自然ではないが、本当のところはどうなのだろうか?ということである。しかしこればかりは食に関する見識なくてしては、語学辞典程度では全くどうにもならないかもしれない)
‥‥といったことが脳内回路を素早く通過したのだが、とりあえずはそこで中断しておいた。退屈なのでWに投げてみて反応を観察することにする。
「“サイコロステーキ”って英語でもそのままかな?」
「どうしてそんなこと?」
 Wの笑顔の下の警戒心と侮蔑(曰くやっぱりこいつ頭おかしい)がくっきりと透けて見える。本人はそうしたものを悟られているはずはないと思い込んでるようだが、私は彼女が思っているほど頭が鈍いわけではないのだ。──まあ予想していた通りの反応だが、一応結果を記憶に上書きしておいた。
 O駅に着いた。Wと話すといつもこんな風に無駄に疲労することになるが、まあそれは彼女にとってしても同じだろう。‥‥お互いに薄っぺらな笑顔で手を振って別れたのだった。


【シナモンの痙攣】
 Wと並んで濃い影を踏んで歩きながら、私はふと思ったわけでした。
(“サイコロステーキ”とは英語から直訳された言葉なのだろうか‥‥いやこう問い直した方が良いだろう。つまり、“サイコロステーキ”という単語は一見和製語のようだけれども実は……というようなエピソードがあっても全く不自然ではないが、本当のところはどうなのだろうか?ということである。しかしこればかりは食に関する見識なくてしては、語学辞典程度では全くどうにもならないかもしれない)
‥‥といったことが脳内回路を素早く通過したのですが、とりあえずはそこで中断しておきました。退屈なのでWに投げてみて反応を観察することにします。
「“サイコロステーキ”って英語でもそのままかな?」
「どうしてそんなこと?」
 Wの笑顔の下の警戒心と侮蔑(曰くやっぱりこいつ頭おかしい)がくっきりと透けて見えます。本人はそうしたものを悟られているはずはないと思い込んでいるようですが、私は彼女が思っているほど頭が鈍いわけではないのです。──まあ予想していた通りの反応ですが、一応結果を記憶に上書きしておきました。
 O駅に着きました。Wと話すとこんな風にいつも無駄に疲労することになりますが、まあそれは彼女にとってしても同じでしょう。‥‥お互いに薄っぺらな笑顔で手を振って別れたのでした。


【無題】
 O駅までAと一緒に行かなくてはならなくなった。
 ついていない。そもそもAというやつは、何を考えているのだかわからなくて実に気味が悪い。陰気だし、愚鈍だし、見ていていらいらする。つまりは、この私がつきあうに値しない人間というわけだ。
「“サイコロステーキ”って英語でもそのままかな?」
 Aが言った。ばかかこいつは。わけのわからないことを言って、やっぱり頭がおかしいのだ。
「どうしてそんなこと?」
 無視するのも大人げないと思うので、訊き返してはやったが、本当のところ返事なんて聞きたくもない。
 ──Aは、私が自分を嫌っているなどと夢にも思っていない。まったくおめでたいやつだ。とっとと別れたい‥‥と思っていたところで、どうやらO駅に着いた。Aとは逆方向なので、ここでようやく離れられる。
 作り笑いを浮かべてAに手を振ると、背を向けてホームへ向かった。‥‥ああ疲れた。
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by YuyusInstitut | 2003-05-18 13:09 | ビタミンY(脳内研究室)